翻訳家によるコラム「カタカナ言葉の移り変わりについて (「ファーストフード」と「ファストフード」)」

高橋翻訳事務所

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2011/01/27
カタカナ言葉の移り変わりについて (「ファーストフード」と「ファストフード」)

特急翻訳、ビジネス全般翻訳、技術全般翻訳、音楽翻訳担当の高橋です。

皆さんはマクドナルド(McDonald's)やモスバーガー(MOS BURGER)を始めとする「手軽な食事」のことを何と呼んでいますか? 以前は「ファーストフード」とするのが普通でしたが、最近のマスメディア(mass media)による表記では「ファストフード」が圧倒的に多くなっています。また、業界団体である日本フードサービス協会では「ファーストフード」が使われているようです。ちなみにファーストキッチンはFastではなくFirst Kitchenですね。

原音に近い表記にする傾向が最近のマスメディアに多く見られ、英語のfastを日本語のカタカナで「ファスト」と表記する流れのようですが、個人的にはかなり長く定着していたカタカナを最近になってあえて変更するというのは、若干の違和感がありますが、言葉は移り変わるものですので、翻訳の場合でも、お客様によって使い分けていきます。かなり古いお客様から、金型成形(molding)など、プラスチック(plastic)に関する技術翻訳を長い間いただいていましたが、「プラスチック」のような言葉は、原音に合わせる傾向があるといっても、おそらく「プラスティック」にはならないのではないかと思います。

私たちが普段扱っている実務翻訳・ビジネス翻訳や、論文翻訳などにおいて、カタカナ表記を原音に近いものにするか、従来から使われてきた日本語的な発音を続けるかは、その分野で多く使われている表記を確認するだけでなく、お客様の会社のHPでどのような表記になっているかを確認しながら翻訳作業をおこなっていきます。

表記については、翻訳以外の文書を見ているときでも、普段からいろいろと気になるものです。また追っていろいろと取り上げていきます。


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