契約書翻訳、法律文書翻訳担当の岡田です。
今回は【権利放棄( Waiver )】についてご説明します。
No waiver of any right hereunder shall be deemed to be a waiver of the same right on any other occasion.
本契約に基づくある権利を放棄した場合においても、他の機会における同じ権利の放棄とはみなされない。
権利を行使しなかったとしても、その権利を放棄したことにはならないということを定めた条項です。たとえば、継続的な売買契約で「支払いが遅れた場合、売主は契約を解除できる。」と定められていたとします。ある月に、買主による支払いが 1 週間遅れたものの、売主は契約を解除しませんでした。翌月、買主による支払いがまた 1 週間遅れたため、売主は契約を解除しました。こうした場合に、買主が「先月は、 1 週間遅れでも解除しなかったのだから、今月も、 1 週間遅れでは解除できないはずだ。」とは言えないということです。意思表示はその都度明確に行ったものだけが有効であり、意思表示の類推はしないということを念のために定めておくわけです。 |