契約書翻訳、法律文書翻訳担当の岡田です。
今回は 契約書 でよく使われる 3 つの単語について取り上げてみます。
“ procure ”“ obtain ”“ provide ”
「 procure 」と「 obtain 」は、「得る」とか「獲得する」と訳され、「 provide 」は「提供する」と訳されることが多いのですが、以下のように「実現する」などの意味で用いられる場合が結構あります。
- ABC shall procure that its employees will not disclose the Information to any third party.
ABC は、自己の従業員が情報を第三者に開示しないようにする
- ABC shall procure that the Staff will be available at reasonable times to provide the Services.
ABC は、スタッフが妥当な時間にサービスを提供できるようにする。
- The Company shall procure the holding of a meeting of the Board of Directors.
会社は取締役会を開催する。
- ABC shall not attempt to obtain the withdrawal from XYZ of any of its employees.
ABC は、 XYZ の従業員が XYZ を退社するように画策しないものとする。
- ABC shall make every effort to obtain the lowest possible cost.
ABC は、 費用を最小限に抑えるためにあらゆる努力を行うものとする。
- ABC shall provide use of its facilities to XYZ.
ABC は、 XYZ が ABC の施設を使用できるようにする。
「〜するように(〜されるように)(〜しないように)手配する(図る)」などと訳しても、もちろん構いませんが、少なくとも文脈を無視して無理やり「得る」という訳語を用いないことが重要です。「得る」という意味では不自然なときは、「実現する」などの意味を検討すれば、たいていは意味が通じます。
最後の例文について、「 ABC は XYZ に対して、 ABC の施設の使用を提供する。」といった訳文を否定する意図はありませんが、上記のような訳文の方が、翻訳としてというよりも、日本語として自然ではないかと思います。
|