生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
4年に1回行われるスポーツの祭典では世界中が盛り上がります。陸上競技(athletic sports)では1/100秒まで正確なタイムが計測され、ゴールでは写真判定までが使われて勝敗が決められます。一方、体操などの採点競技では、複数の審判が付ける点数によって勝敗が決められます。もちろん、技の難度や完成度によって、基礎点、加点、減点など細かな採点方法が決められ、公平性が保たれるようになっています。しかし、審判の主観が入るのは否めないことがわかります。
医学や医療を考えると、これもやはり医者による「判定」でしょう。しかも、細かな判定基準は定められてはいても、競技のように同じ演技の出来を競うのではありません。勝手気ままな生体の所見を、何とか基準に当てはめて採点しようとするわけですから、余計に厄介ともいえるでしょう。
多くの臨床医(clinicial)と患者は病理(pathology)の診断結果のみを聞きたがります。病理医(pathologist)は報告書に「判定に至った理由や問題点」「鑑別診断(DD:differential diagnosis)として上げられた中で完全には否定できないもの」「経過観察(follow-up)のお願い」など、さまざまな情報や意見を記載していますが、これらは言い訳ではなく、判定を下した理由を知っておいて欲しいという思いからきているそうです。
患者やその家族が「場合によっては病理医から直接話を聞く」という姿勢を取ることは非常に大切なことだと思います。病院や医者はその希望に応える制度をつくっていかなければなりません。 |