生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
mRNA(メッセンジャーRNA)は遺伝子の情報(DNAの塩基配列)を写し取って合成されたRNAです。すなわち「翻訳会社」全体の統制を担っています。このmRNAの情報に従って、アミノ酸が一定の順序でつながって翻訳が行われます。 翻訳の際にmRNAは、翻訳の場であるリボソームと結合する必要があります。結合のしかたは、原核生物と真核生物で違います。原核生物では、mRNAの非翻訳領域にSD配列という特別な塩基配列があって、この塩基配列とリボソームが結合します。真核生物では、mRNAのキャップ構造に結合するタンパク質があって、このタンパク質を介して、mRNAとタンパク質が結合します。また、mRNAの非翻訳領域に、しばしばmRNAの分解速度に関わる塩基配列があります。 翻訳は、まずmRNAの3つの塩基(コドン)とアミノアシルtRNAの3つの塩基(アンチコドン)が対を作り、次にアミノ酸とtRNAとの結合が切られて、アミノ酸同士が次々に結合することで進んでいきます。この一連の反応が「翻訳」です。mRNAの塩基配列という情報言語(たとえば、日本語)を、アミノ酸配列という別の情報言語(たとえば、英語)に「翻訳」するという意味です。翻訳の反応が進行するのはリボソームの上で、具体的には大小サブユニットが合わさっている内側の部分になります。 翻訳速度は、原核生物で毎秒20アミノ酸といわれます。したがって、アミノ酸の平均分子量を114とすると、1分で13万5千くらいのタンパク質を合成できることになります。
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