翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」

高橋翻訳事務所

分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2012/01/10
2型糖尿病について その2

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

日本人の糖尿病は、その9割以上が2型です。糖尿病の治療についての話といえば2型の患者に対する説明だと思ってよいぐらいです。

2型糖尿病は、遺伝的素因をもっている人が糖尿病になりやすい生活を送っていると発症します。糖尿病に関係のある遺伝子は、主なもので10個ぐらいあるのではないかといわれています。単純には、糖尿病に関係のある遺伝子と関係ない遺伝子が1組になっているので、これが10個あるすると2の10乗、つまり2を10回かけた組み合わせ1024通りがあることになります。主な遺伝子だけでもこれだけ多くの組み合わせがあるので、その他の要因に関する遺伝子も合わせるとさらに増えます。

そのため、親が糖尿病だと子供も糖尿病になりやすいのは事実ですが、必ずそうなるとはいえません。兄弟でも糖尿病になる人とならない人があります。しかし、血のつながった家族に糖尿病の人がいる場合には、糖尿病を発症する可能性は高いといえます。糖尿病の家族歴がある人は、ときどき血糖値を測定したほうがよいでしょう。糖尿病は症状のない病気なので、発症しても気づかないケースがよくあります。遺伝的素因のある人が、過食、とくに甘い物や高カロリーな食べ物、アルコールの飲み過ぎ、運動不足(lack of exercise)によって肥満になると血糖値は上昇してきます。

日本人は糖尿病に対して民族的に弱い体質で、小太りぐらいでも糖尿病になる可能性が高くなります。なかには、太ったことなど1回もないという人でも糖尿病になることがあるぐらいです。また、妊娠も糖尿病には悪影響を及ぼすため、妊娠をきっかけに糖尿病になる母親がいます。その上、妊娠中は熱心に治療に取り組む母親も、出産後は忙しさにまぎれて自分の糖尿病の治療がおろそかになり、10年以上経ってから病院に行くというケースが多いそうです。


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