翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」

高橋翻訳事務所

分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/12/26
光化学スモッグについて

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

光化学スモッグ(photochemical smog)は、上空に白いモヤがかかったような大気状態を示すスモッグの一種です。もともとスモッグ(smog)という言葉は、煙(smoke)と霧(fog)の共存状態を示すものでした。大都市や工業地帯で出されるばい煙などの粒子が核となり、霧が発生することが多かったからです。現在では、大気の高濃度汚染の総称として使われています。

スモッグには石炭微粒子や二酸化硫黄(sulfur dioxide)などの一次汚染物質が存在するロンドン型スモッグと、排出汚染物質の反応による二次汚染物質生成から起こるロサンゼルス型スモッグがあります。光化学スモッグは、このロサンゼルス型スモッグのことです。

光化学スモッグは工場や自動車から排出される窒素酸化物(nitroxide)、および反応性の高い炭化水素を主とする一次汚染物質が、太陽の紫外線(ultraviolet rays)によりエネルギーを受けて光化学反応を起こし、その結果二次的に生じる大気汚染物質が原因で発生するといわれています。この大気汚染物質を光化学オキシダント(photochemical oxidant)といいます。オキシダントは大気中に存在する酸化力の強い物質の総称であり、オゾン(ozone)、硝酸ペルオキシアセチル(PAN:peroxyacetyl nitrate)や過酸化物(peroxide)のことです。

光化学スモッグの起こりやすい気象条件は、(1)風が弱い、(2)気温が高い、(3)日射が強い、(4)非メタン炭化水素濃度が高い、(5)視界が悪いなどの条件が重なったときです。つまり、紫外線の強い夏の日中での発生が多く、紫外線の弱い冬、あるいは夜間には発生しません。

光化学オキシダントの濃度が高くなると人の粘膜が侵されるため、目がチカチカする、涙が出るなどの目の症状、のどが痛い、せきが出る、息苦しいなどの呼吸器の症状、その他に吐き気、頭痛などの症状が出ます。

風に乗って汚染物質が移動するので、特に大きな汚染物質の発生源のない地域でも光化学オキシダント濃度が高くなることがあります。たとえば、地表近くのオゾン濃度が東京都心部よりも郊外のほうで高いのは、自動車の排気ガスが海風に乗って広がるからです。

もし、光化学スモッグ注意報が出たときは、できるだけ外に出ないことです。目やのどに刺激を感じたときは、直ちに外での活動をやめ、洗顔やうがいをするようにして下さい。


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