生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
マイクロサージェリーの基本技術はCCDカメラとアクチュエーター(actuator)です。患部(affected area)を高感度のCCDカメラで撮影すると、撮影された画像がモニターや実体顕微鏡(stereomicroscope)に映し出されます。つまり、その映像を見ながら手元にあるマジックハンド(アクチュエーター)を操作して作業を行うわけです。力の信号を電流の信号へ変換することによって、アクチュエーターはピンセットや手術針(needle)をもち、通常の手術と同じような動作をするように工夫されています。CCDカメラとマジックハンドという科学技術を使って、肉眼では見えないような手術が可能になったのです。
こうして開発されたマイクロサージェリーは脳神経外科(neurosurgery)を初め、眼科(opthalmology)、形成外科(plastic surgery)などで広く使われるようになりました。
マイクロサージェリーは、今まで手術が不可能だった脳神経(cerebral nerve)などの治療を可能にします。その上、手術で切開する部分も極めて小さくすることができ、さらに出血なども最小限に抑えることができます。その意味で、マイクロサージェリーは体に優しい医療技術だと言えるでしょう。
手術を行う医師が現場にいなくてもいいわけですから、マイクロサージェリーの可能性はまだまだ広がります。
例えばある難しい脳手術を行う必要ができたとします。その手術を行える医師は世界で数人しかいません。これまでなら、その医師のところに患者が出向くか、その医師を呼び寄せなければなりませんでした。これでは緊急の場合に手遅れになりかねません。そこでマイクロサージェリーの技術を活用します。これによって、例えば日本の病院で患者の患部にCCDカメラをセットし、アメリカにいる医師がその画像を見ながら遠隔操作(remote control)で手術を行うということが可能になるわけです。
人の手の動きは機械には真似できないほど微妙であるため、その微妙さをこれまで以上に伝えられるアクチュエーターが開発され、ナノテクノロジーが活用されれば、損傷した神経の1本1本をつなぎあわせることすら可能になるかもしれません。
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