生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
日本人の3大死亡原因の1つが心臓病(cardiac disease)です。そのため、心臓病の検査や治療を目的とした医療機器(medical device)がこれまで数多く開発されてきました。
心臓は、全身に血液を送るためにポンプとして働く大切な臓器です。その出口とつながっているのが大動脈(main artery)で、この根元にはいくつかの細い枝があり、その一部が心臓の表面を覆うように広がっています。この血管は西洋の人たちにとって、ちょうど王冠を逆さまにしたように見えたことから、冠動脈(coronary arteries)と呼ばれるようになりました。心臓を守る大切な血管でありながら、細くて複雑な形をしているため異常をきたしやすく、しばしば重大な病気の原因となります。
心臓の内部には4つの部屋があります。右心房(right atrium)、左心房、右心室、それに左心室()です。大動脈は左心室(left ventricle)から出ています。右心房の天井部分にペースメーカの役割をする細胞があり、自動的に規則正しく電気信号を発しています。これによって心拍数(heart rate)が決まります。
電気信号は特殊な繊維を通って心房全体に伝わり、そのあと筋肉細胞に広がっていきます。信号を受けた筋肉細胞は、自分自身も電気を発して隅々の細胞に伝達する役目も果たしつつ、一斉に収縮を開始します。こうして心房内の血液は、勢いよく心室に送り込まれますが、この間、電気信号は時間調整のために心房と心室の境界線付近で足踏みをしています。しばらくして、電気信号は心室にも伝わり、同じように筋肉細胞を収縮させるようになっています。
実に素晴らしい仕組みだと思います。神様が作った芸術品とも言えそうですが、現代風に言えば完全な省エネ型にもなっていて、これほど優れた機械は人類がまだ作ることができません。
これら一連の電気信号の変化を、体の外から記録するための装置が心電計(electrocardiograph)です。健康診断や人間ドック(complete medical checkup)などでもお馴染みですが、医療機器の中でも特に重要なものの一つとなっています。
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