生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
mRNAの遺伝暗号からタンパク質を合成することを「翻訳」と言います。翻訳に関わる主な役者にはtRNA・rRNA・mRNAの3種類がありますが、今回はtRNA(トランスファーRNA)を紹介しようと思います。 タンパク質合成の材料となるアミノ酸(amino acid)は、そのままの形ではなく、tRNAと結合して使われます。このアミノ酸と結合したtRNAが、mRNAの持つ遺伝暗号に従って配列することで、アミノ酸がつながってタンパク質が合成されるわけです。tRNAはコドン(codon)に対応するアンチコドンを持っていて、コドンに対応するアミノ酸をその3`末端部分に結合させます。 tRNAの種類はおよそ40ぐらいです。アミノ酸に対応するコドン(61種類)の数だけ必要であるように思えますが、実は一つのコドンが複数のコドンに対応できるので、これですむのです。 正しい翻訳のためには、20種類のアミノ酸が、対応するアンチコドンを持ったtRNAに正しく結合することが決定的に重要です。アミノ酸が結合したtRNA、すなわちアミノアシルtRNAを合成するのがアミノアシルtRNA合成酵素です。この酵素(enzyme)がアミノ酸の構造(structure)を認識して両者を正しい組み合わせで結合させます。 この酵素が構造の良く似たRNAを識別する際は、tRNA合成後の修飾で生じたtRNA上のマイナー塩基の存在が重要な意味を持ってきます。 話せばいくらでも長くなるのでググっとこらえて大幅に省略しましたが、これだけの説明でも「翻訳」という反応はかなり複雑だということがわかります。 |