翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」

高橋翻訳事務所

分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2011/10/24
ノーベル賞受賞者の息子

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

下村博士がノーベル賞(nobel prize)を受賞するまでは、博士の息子、努さんは父親よりも有名でした。彼はアメリカのサンディエゴ(San Diego)にあるスーパーコンピューターの上級研究員を務めています。そんな努さんを一躍有名にしたのは、「史上最悪のハッカー」として悪名高いケビン・ミトニック(Kevin Mitnick)の逮捕劇でした。

ミトニックはFBIさえも逮捕にてこずっていた大物で、政府や企業、有名人から個人情報を盗みつづけていました。情報を金儲けに使うことはなく、ただ盗むことを目的にした愉快犯で、何度逮捕されてもハッキングをやめることはありませんでした。

スリルを求めたミトニックの行動はエスカレートし、超えてはいけない線を越えてしまいます。コンピューターセキュリティーについては右に出るものがいないと言われ、アメリカ政府にも頼りにされる天才、努さんのコンピューターから情報を盗んだのです。

プライドを傷つけられた努さんは、犯人の特定に全精力を注ぎ込むことを決意します。仲間とともに専門知識(expertise)とハイテクソフトを駆使し、ミトニックの居場所を特定。逮捕に大きく貢献します。この逮捕劇は『テイクダウン―若き天才日本人学者VS超大物ハッカー』、『FBIが恐れた伝説のハッカー』と題して本や映画になりました。

あのオワンクラゲ(aequorea victoria)の採集を手伝った少年は、どのようにしてコンピューター科学の天才になったのでしょうか。努さんは普段両親にはほとんど連絡を取らないそうですが、父親がノーベル賞を受賞したとき、努さんはすぐにお祝いの言葉を贈り、両親を喜ばせたそうです。


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