生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
天然ガスを大規模に貯蔵・輸送する場合、通常は、LNGとしますが、液化プラント、輸送船、貯蔵タンクなどに多額の建設費が必要なため、その適用は大ガス田に限られ、中小ガス田への適用が遅れていました。
この問題を解決するため1990年代から、世界各国で人工的に製造した天然ガスハイドレード(NGH)による天然ガス輸送チェーンの開発が進められてきました。
NGHは、天然に賦存するメタンハイドレード(methane hydrate)と基本的に同じ構造をした固体状の包接水和物をNGH製造プラント内で人工的に高速生成したもので、大気圧下マイナス20℃付近で安定する「自己保存効果」を利用して、LNGに比べてガスをより経済的に貯蔵・輸送できるという大きな特徴があります。この特徴から、東南アジアに多数分布する中小ガス田の開発や、焼却されることで地球温暖化の要因となっている石油随伴ガスの回収への適用が期待されます。
また、簡易な設備で天然ガスを取り扱えることから、既にLNGを利用している電力・ガス会社はもちろん、中堅のガス会社や工場などへのクリーンな天然ガスの普及にも寄与すると期待されます。
このほかNGH技術は、パイプライン未整備地域へのNGHローリーでの都市ガス供給、食品廃棄物や下水処理時のバイオメタンガスの有効利用、二酸化炭素ハイドレートを利用した二酸化炭素の貯蔵・輸送、資源メタンハイドレート生産への応用など技術的視野が広く、数少ない石油・天然ガス分野での大型国産技術として注目されています。
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