生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
日本の様々な産業では、工場内での水の循環再利用に関する努力がなされ、鉄鋼業(steel industry)では約90%、化学工場で約85%、全産業で約78%など、日本は水の循環再利用大国といっても過言ではありません。
これらの工場の中で、最も高度な水回収技術を駆使して水を循環再利用している代表例は、半導体工場でしょう。
半導体工場では、水中のイオン類などがPPtからPPqのレベルしか含まれない超純水(ultrapure water)が半導体ウェハの洗浄に用いられています。一方で、%オーダーのフッ酸、リン酸、硫酸などの無機のイオン類やIPA、TMAHなどの有機物(organic substance)が利用され、廃水(wastewater)として排出されます。
これらの廃水は、様々な水処理技術を組み合わせて処理し、超純水を製造する原水や中間のプロセスに循環されています。これらが可能となった背景には、半導体産業が比較的新しい産業で、工場建設時から水の循環再利用を念頭に設計されていることがあります。工場からの廃水を無機物、有機物などの種類や濃度の高低、処理方法を加味して、何種類にも分別し、それぞれを効率的に処理していることが重要なポイントと言えます。
他の産業でも水の循環再利用の要求は高く、より効率的で、安価で安全な水回収技術の発展が期待されています。
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