生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
高感度のマルチスライスCT(multi-detector computed tomography)装置ができて最も変わったのは心臓病(cardiac disease)の検査かもしれません。心臓病で頻度が多いのは心筋梗塞(myocardial infarct)であり、これは冠動脈(coronary artery)にコレステロールが溜まって血栓(thrombus)ができてしまう病気です。
心筋梗塞が疑われたとき、最初に行われるのがカテーテル検査(catheterization)です。細いチューブを腕や足の血管から挿入し、レントゲンのモニター画像を見ながら冠動脈まで進めていきます。そこでカテーテルから造影剤(contrast dye)を注入すれば、詰まった部位がモニター画面上で見えることになります。
カテーテル検査は心筋梗塞の診断に欠かせないものとされてきましたが、放射線(radiation)を何時間も浴びるという問題を抱え、また血管内にチューブを挿入するという操作で出血などのトラブルが起こることもあります。
マルチスライスCT装置の登場によって、このカテーテル検査がもういらなくなったのではないかとまで言われています。細い血管を鮮明に写し出すために造影剤を使うこともありますが、手足の血管から注射するだけでよく、安全性は格段に高くなったと言えます。なお、冠動脈が詰まっていると分かった場合は、カテーテルによる治療が必要とされており、この点は課題として残るところです。 |