生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。
放射線は、原子核が壊れる際に放出されるエネルギー(電磁波)のことで、X線とガンマ線の他にも中性子線などいくつかの種類があり、遺伝子を破壊して細胞をがん化させるという作用があります。放射線が少しでも強くなれば発がんの可能性も必ず高くなっていくという法則があり、これ以下なら大丈夫という安全基準は存在しません。
放射線の強さを表す単位には、いろいろな種類があります。ラド(rad)、レム(rem)、キュリー、レントゲンなどの言葉を耳にしたことがあるかもしれませんが、いずれも昔の単位で、今は使われていません。現在使われているのは、ベクレル、グレイ、それにシーベルト(sievert)です。
放射線の強さは、それを放つ物質による差もありますし、どれくらいの距離で被曝したかによっても違います。これらを含めて、最終的に人体が受けた放射線量を表すのがこの単位です。ただしシーベルトはあまりに大きすぎるため、それを千分の1にしたミリシーベルトを用いるのが普通です。たとえば、「原子力発電所の事故で作業員が10ミリシーベルトの放射線を被爆した可能性がある」などという言い方をします。
放射線は自然界にも存在します。宇宙の果てから飛んでくるものや、地球上に存在するもの、さらにはテレビのブラウン管などから放出されるものもあります。これら自然界の放射線は、年間およそ2.4ミリシーベルト(世界平均)とされています。
X線やアイソトープを使った検査でどれくらいの放射線を受けるのかについて、アメリカの団体が提示している値をまとめてみました。
(検査の種類) (放射線量)
胸部単純レントゲン撮影 0.1mSv
マンモグラフィ 0.7mSv
頭部CT撮影 2.0mSv
胃レントゲン撮影 2.0mSv
大腸レントゲン撮影 4.9mSv
ただし検査の仕方によっても大きな違いがあるため、正確な数字を表すことは困難です。たとえばマンモグラフィ(mammography)で受ける被曝量は、この値の5分の1程度としている報告値もあります。
医療機器によって被曝する放射線の安全性についてはさまざまな意見があり、まだ明確な判断基準が示されていないというのが実情です。 |