翻訳家によるコラム「分子生物学・バイオ技術・環境コラム」

高橋翻訳事務所

分子生物学・バイオ技術・環境コラム

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2013/01/16
植物として見たスパイスとハーブ

生物学翻訳、学術論文翻訳、環境翻訳担当の平井です。

独特の香りや風味、味をつける調味料は、今や家庭料理に欠かせない存在です。ソースはシナモン(cinnamon)やローレルなどさまざまなスパイス、ハーブ(herb)が調合されてつくられています。スパイスとハーブの違いとは何でしょうか。

子どもに人気があるカレーは、多くのスパイスが使われています。「まだ辛さが足りないから激辛スパイスを足してたべよう」という人がいますね。スパイスは辛くて刺激的なイメージがあります。一方、ハーブといえば、ハーブティーに代表されるように香りのする葉というイメージがあります。

中世のヨーロッパでは、アジア原産のコショウやシナモンは貴重品でした。これらのものはアジアから遠い道のりを運ばれるため、運搬途中で腐らないように乾燥粉末にして扱われることが多く、スパイスとよばれていました。一方、ヨーロッパ原産の植物で簡単に栽培できるパセリやローレルがハーブとよばれていたそうです。慣例的に呼び名が異なりますが、生物学観点で考えるとスパイスとハーブの違いは明確にはありません。

スパイスやハーブが料理に果たす役割は、大きく分けて三つあるとされています。一つ目は料理に彩りを与え、香りをつけて食欲を刺激する役割です。二つ目はその植物がもっている性質によって、食品の酸化を防止したり、菌の増殖を抑えたりする役割です。古代エジプトでミイラの防腐用にシナモンやマジョラムを詰めていたことがわかっています。三つ目はスパイスやハーブが持つ薬効により、食欲を増進させたり、咳止めをしたりする効果です。

サラダに添えられたパセリやケーキに載せたミントなど身近な料理にもさまざまなスパイスやハーブが使われています。


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