契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回のテーマは日本航空( Japan Airlines Corporation )の更生計画についてです。
今年 1 月に経営破たんした日本航空が、最終的な再建策を盛り込んだ更生計画案を東京地裁( Tokyo District Court )に提出しました。 11 月までに認可を受け、本格的な再建が始まる予定です。
更生計画の柱は大規模なリストラ( restructuring )です。年金や賃金のカット、 16,000 人の人員削減、老朽化した大型機の退役、子会社の売却などにより、 3 年間で営業費用を 5,000 億円程度圧縮します。また、計画には銀行団による 5,200 億円の債権放棄と管財人である企業再生支援機構の 3,500 億円の出資が盛り込まれ、 2013 年 3 月期には 1,000 億円以上の営業利益を確保するとしています。しかし、事業戦略が明確であるとは言えず、金融支援とリストラのみで黒字化を実現できるのかは不明です。
計画に盛り込まれた格安航空会社( LCC : low-cost carrier )の創設についても、世界的に激しい競争が繰り広げられており、後発の日航が市場に食い込むことは厳しいとの指摘もあります。また、国内外 45 路線の廃止とともに羽田発着便など国際線の新規就航を打ち出しましたが、国際線は景気の影響を受けやすいというデメリットがあるため、業績の回復度合いによっては国際線の大幅縮小や全面撤退も検討する必要があるでしょう。
大型再編が相次ぐ世界の航空市場において日本がその存在をアピールするためには、日航再建だけでなく、航空機燃料税( aviation fuel tax )の引き下げや着陸料( landing fee )の見直し、空港の統廃合など、航空行政の見直しも急務となっています。 |