契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回のテーマは上半期の美術オークション市場(art auction market)についてです。
今年の美術オークションは好況が続いており、2月にロンドンのサザビーズ(Sotheby's)でジャコメッティ(Alberto Giacometti)の彫刻作品「歩く男(Walking Man)」が約95億円で落札されたのに続き、5月にはニューヨークのクリスティーズ(Christie's)でピカソ(Pablo Picasso)の絵画「ヌード、観葉植物と胸像(Nude, Green Leaves and Bust)」が約100億円で落札され、オークションレコードを記録しました。
クリスティーズ、サザビーズとも、上半期の好況は景気回復の影響が大きいとの認識で一致しています。世界的な不況により、昨年の両社の総取扱高は大きく落ち込み、前年比でクリスティーズは35%、サザビーズは47%も減少しました。しかし、サザビーズが5月にニューヨークで開催した「印象派と近代美術」のオークションでは約183億円を売り上げ、前年の3倍に達しています。また、中国では嘉徳が5月の1ヶ月間で昨年の総売上額の8割近い270億円を記録しました。
欧米だけでなく、インドネシアや南米などの新興国の買い手が増え、美術品は安全な投資対象であるとの理解が広まってきていることが、美術市場の盛況につながっています。景気回復の風も受けて盛り上がりを見せる美術オークション市場は、新興国からの積極的な参加もあり、下半期も好況が続くと予想されています。 |