翻訳家によるコラム「契約書・政治経済・アート・スポーツコラム」

高橋翻訳事務所

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2010/07/20
日印原子力協定について

契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。

今回は日本とインドの原子力協定( Japan-India nuclear pact )についてです。

日本とインドが原子力協力協定の締結に向けた交渉を開始しました。インドは事実上の核保有国で、核拡散防止条約( NPT : Nuclear Non-Proliferation Treaty )を不平等条約であるとして加盟せず、独自に核開発を進めています。 12 年前に実施した核実験では、対抗して核実験を行ったパキスタンとともに国際社会の制裁を受けました。日本はすべての国に対して NPT 加盟を求め、新たな核兵器の保有国を許さず、核軍縮を進めて、最終的には核兵器のない世界の実現を目指してきました。そのため、インドとの原子力協定はこれまで行われてきませんでした。

2 年前、原子力供給国グループ( NSG : Nuclear Suppliers Group )は、インドへの輸出規制を例外的に解除しました。インドは民生用の核施設を国際原子力機関( IAEA : International Atomic Energy Agency )の査察下に置き、抜き打ち査察を可能にする追加議定書にも署名をしています。政府はインドの行動を注視し、約束を着実に実行していることを確認して、今回の決断を下したと説明しました。

地球温暖化対策やインドとの関係強化などの視点から考えると原子力協定にはメリットがありますが、インドは核査察を不問に付され、査察対象とならない軍事用の核施設は存続できます。これに対し、隣国のパキスタンが同じように例外を求めてくるのも時間の問題であり、 NPT 加盟国も不満を抱いています。

インドは核軍縮や不拡散において具体的な姿勢を示す必要があり、 CTBT ( Comprehensive Nuclear Test Ban Treaty )への署名と批准についても日本は強く働きかける必要があるでしょう。


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