「新型コロナウイルスとインフルエンザについて」

高橋翻訳事務所

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2021/2/28
新型コロナウイルスとインフルエンザについて

高橋翻訳事務所で経済分野の翻訳を担当している佐々木と申します。今回は新型コロナウイルス(COVID-19)とインフルエンザ(influenza)についてです。

世界中で新型コロナウイルスの感染拡大が止まらない中、12月にイギリスで変異種(mutant strain)が初めて確認されました。この変異種はこれまでのウイルスよりも感染力が強く、高齢者だけでなく若年者にも感染しやすいという特徴があると言われています。その後に南アフリカやブラジルでも変異種が発見されるなど、各国で変異種の感染が確認されており、その数も増加しています。すでに開発されているワクチンは変異種にも効果があると発表されていますが、今後の動向には特に注意が必要です。冬は気温が下がり、空気も乾燥するためウイルスが最も活性化する条件がそろうこともあり、感染拡大を封じ込めることが非常に難しい季節に入っています。

日本国内でも1月に1日の感染者数が7,000人を超えるなど、第3波が押し寄せてきました。1月7日に東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県に対して緊急事態宣言(state of emergency)が発令され、飲食店に対して午後8時までの営業が要請されただけでなく、テレワークの割合を7割まで引き上げる、そして午後8時以降の不要不急の外出は避けるなどの要請も出されました。その後、大阪府、兵庫県、京都府、愛知県、岐阜県、福岡県、栃木県にも対象地域が拡大されたり、自治体ごとに独自の緊急事態宣言が発出されたりするケースが相次ぎました。しかし、今回の緊急事態宣言は昨年4月のときよりも対象範囲や制限が厳しくなく、午後8時までは外出、外食しても問題ないとの誤った認識が広まったこともあり、繁華街や観光地などの人出などは前回ほど下がっていないという報道もあります。その後、政府が時間を問わず外出、外食は控えることを会見したり、医師会が医療崩壊(collapse of the health care system)の可能性に言及するなどしていますが、新型コロナウイルスの感染者が国内で初めて確認されてから1年が経過し、長引く自粛生活の疲れやウイルスへの慣れなどもあり、緊急事態宣言が形骸化している感は否めません。また、時間短縮の要請に応じた飲食店には1日あたり一律で6万円が支給されるということについても疑問の声が上がっているのも事実です。店舗の規模や従業員の数にかかわらず一律で支給されるため、小規模店舗で従業員を1人も雇用していない飲食店にとっては通常の営業時よりも収入が増えているケースが出たり、飲食店以外の業種では協力金が支給されないなど、不公平な状況に対して不満を表明する企業も出てきました。2月2日には栃木県を除く10都府県で3月7日までの緊急事態宣言の延長が発表されましたが、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県以外は3月1日に緊急事態宣言が解除されることになりました。

例年、冬にはインフルエンザの流行がニュースとなりますが、2月1日から7日のインフルエンザ報告者数は98人となっており、例年は最も流行する時期に入っているにもかかわらず、今シーズンはその兆しがありません。理由は新型コロナウイルスの拡大により、手洗いや手指の消毒、マスクの着用、人込みを避けるなど、インフルエンザに感染しやすい状況が回避されていることが挙げられています。インフルエンザも新型コロナウイルスと同様に、感染者の咳やくしゃみによってインフルエンザウイルスを含む飛沫が周囲に飛び散り、他の人の呼吸器や目などの粘膜からウイルスが侵入したり(飛沫感染(droplet infection))、ウイルスが手に付着した状態で目や鼻などを触ることによってウイルスが侵入することで(接触感染(contact infection))感染します。インフルエンザは一般的な風邪よりも重症化しやすい疾患と考えられており、1〜3日程度の潜伏期間の後に38度以上の発熱、頭痛、全身の倦怠感、関節痛などが突然現れ、咳などが続き、1週間程度で改善するのが一般的な症状と言われています。日本では11月下旬頃からインフルエンザの患者が出始め、1月から3月頃に罹患者が急増し、気温が上がる4月、5月にかけて減少していくというサイクルになっています。厚生労働省(Ministry of Health, Labour and Welfare)によると、インフルエンザに関連した死者数は年間1万人程度ですが、今シーズンは例年と比べても格段に少なくなっています。インフルエンザの予防として、ワクチンの接種があります。毎年10月頃からワクチンの接種が始まりますが、65歳以上の高齢者や呼吸器や免疫の機能に一定の障害を有する60歳以上65歳未満の人には本人の希望で予防接種が行われ、一部費用は自治体から補助が出ます。その他の年齢では任意とされていますが、受験生やその家族、人と接する機会の多い職種の従事者は接種する人も多いため、ワクチンの供給不足により接種が早めに終了してしまう医療機関も出てきています。

新型コロナウイルスもインフルエンザもウイルス性の疾患であり、基本的な予防方法は同じです。新型コロナウイルスのワクチン接種が2月17日に始まり、4月からは高齢者から順次接種が行われる予定ですが、気を緩めずにこれまでどおりの予防を続けていくことが収束への近道であることに変わりはありません。


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