高橋翻訳事務所で契約書・法律文書の翻訳を担当している佐々木と申します。今回は航空機リース(aircraft lease)についてです。
2019年に全日空(ANA)が総2階建てジェット旅客機のエアバスA380(Airbus A380)を成田・ホノルル間で導入することで話題となりましたが、航空旅客数は2001年のアメリカ同時多発テロ(September 11 attacks)や2008年のリーマンショック(Financial Crisis of 2008)などの影響を受けつつも、ここ20年は年平均で約5%の伸びを見せています。国際航空運送協会(International Air Transport Association、IATA)が発表した2017年の航空統計によると、世界の航空旅客数は40億人を超えましたが、航空路線の拡大やLCC(low cost carrier)の台頭、アジア太平洋地域の経済成長などが追い風となり、今後も増加することが見込まれています。それに伴い、旅客機の需要も高まりを見せているなかで注目を集めているのが、航空機リースです。
航空機リースは、航空会社が航空機を調達する方法の1つです。航空会社がリースを利用する主な理由は、購入にかかる資金調達の問題や一時的な需要増への柔軟な対応などが挙げられます。航空機は1機あたり数十億円から、大型機になると100億円を超えるものもありますが、全体的に航空会社は財務体質が強固とは言えないため、運航する航空機をすべて自社で購入することは現実的な選択肢ではありません(エアバスA380のカタログ価格は約4.4億ドル)。そこで各社が活用しているのが、航空機リースです。現在、世界中で運航している航空機のうちリース機の割合は約40%ですが、その数は過去20年ほどで5倍近くに増加しており、今後も航空機リースはますます重要な存在になることが予想されています。
航空機リースの大まかな仕組みは、以下のとおりです。
リース会社(レッサー:lessor)は航空機を担保にして金融機関(レンダー:lender)から調達した資金で航空機を購入し、航空会社(レッシー:lessee)にリースします。航空会社はリース会社にリース料を支払い、リース会社はそのリース料を原資にローンの返済を行います。航空機を所有するのはリース会社ですが、リース期間が長期となるため、整備費用などは航空会社の負担となるケースが多いのが特徴です。
ここまで航空機リースの概要を見てきましたが、次回は航空会社がリースを積極的に利用するようになった背景などについて取り上げていきます。
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