契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回のテーマはプロ野球選手の契約更改についてです。
日本のプロ野球もオフシーズンを迎え、各選手が契約更改に臨んでいます。今年1年間の成績によって来季の年俸(annual/yearly salary)が決まる世界ですので、話し合いが長期に及んだり、調停(mediation)にまで持ち越されることも少なくありません。読売ジャイアンツの阿部選手が1億7,000万円増の年俸5億7,000万円で契約更改して歴代3位となる一方、福岡ソフトバンクホークスでは複数の選手が保留するなど、選手にとっては非常に重要な時期でもあります。
プロ野球選手は個人事業主として扱われるため、所属する球団とは自ら契約交渉をし、確定申告も行います。近年では契約交渉の場に代理人(lawyer/attorney)を同席させ、球団の査定をより詳しく、専門的な視点から交渉する選手も増えています。主力選手などは事前に下交渉を済ませるケースも多く、短時間で契約更改となりますが、金額に納得ができない選手は保留し、2回目の交渉となります。数度の話し合いを経ても交渉がまとまらない場合は年俸調停委員会に調停を申請することができますが、委員会の決定は変更が不可能です。調停で決まった金額で選手が契約をしない場合は任意引退扱いとなり、他球団と契約するためには所属球団の許可が必要になってきます。
日本プロフェッショナル野球協約(Japan professional baseball agreement)では前年度の年俸が1億円以上の選手は40%、1億円未満の場合は25%と、減額の限度が定められていますが、「選手の同意があればこの限りではない」との但し書きがあるため、実際にはそれ以上の減額で契約をすることも少なくありません。複数年契約を勝ち取る選手もいますが、プロ野球選手にとっては1年1年が勝負です。契約更改のニュースを耳にするたびに、プロの世界の厳しさをあらためて感じてしまいます。 |