契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回は外国人看護師( foreign nurse )の受け入れと現状について取り上げます。
EPA (経済連携協定: Economic Partnership Agreement −特定国間で人的交流などの経済交流を行う協定で、日本はインドネシア、フィリピンと看護師、介護福祉士( care worker )候補者の受け入れで合意しています。看護師候補者は 3 年以内、介護福祉士候補者は 4 年以内に国家試験に合格すれば、日本国内で働き続けることができます)に基づいたインドネシア、フィリピン人看護師候補者の受け入れ事業で、 3 名が初めて国家試験に合格しました。受け入れ事業は 2008 年度に始まり、候補者が受験するのは今回が 2 回目ですが、昨年は 82 名の受験者全員が不合格でした。今年は 3 名の合格者が出ましたが、その一方で不合格者の数は 251 名に上っています。インドネシアからの第 1 陣候補者は、次回不合格となれば帰国しなければならないという厳しい状況になりました。
介護福祉士候補者が国家試験を受験できるのは滞在中に 1 回のみですが、介護福祉士の国家試験は日本人でも合格率( the pass rate )が 50% と低く、現行の試験では合格者が 1 人も出ずに事業自体が失敗になる恐れがあるとの指摘もあります。こうした事態を受け、日本病院会など 4 病院団体協議会は、「本国での十分な日本語教育」、「在留期間( period of stay )を延長し、国家試験の受験機会を増やす」などの提言を国に提出しました。試験問題には日本人でも読むことが難しい専門用語( technical term )が含まれていますが、易しい言葉への言い換えも検討されています。また、政府も日本語能力向上の支援に乗り出し、今年度から日本語教師の派遣経費などを施設側に助成する予定となっています。
看護、介護分野の労働力不足( labor shortage )は年々深刻化しているため、外国人の受け入れを含めた包括的かつ長期的な対策が早急に求められています。 |