契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回のテーマは9.11後の世界情勢についてです。
今年の9月11日で、アメリカ同時多発テロ事件(September 11, 2001 Terrorist Attacks)から10年を迎えます。ニューヨークの世界貿易センタービル(twin towers of the world trade center)や国防総省本部庁舎(pentagon)などを標的とし、約3,000人の死者と6,000人以上の負傷者を出したこの事件は、その後のアメリカと世界の情勢を一変させました。
テロとの戦いを掲げたアメリカは2001年にアフガニスタン、2003年にはイラクでの戦争に踏み切りましたが、これまでに6,000人以上のアメリカ兵が犠牲となるなど、依然として泥沼の状況から抜け出せずにいます。特にイラクでは大量破壊兵器(weapons of mass destruction)が発見されず、アメリカの国際的な影響力が弱まる要因の1つとなりました。今年の6月にバラク・オバマ大統領はアフガニスタンからの米軍撤退計画を発表しましたが、撤退がスムーズに進むかは分かりません。
5月にはアルカーイダ(Al-Qaeda)の司令官であり、アメリカ同時多発テロ事件などの首謀者とされていたウサーマ・ビン・ラーディンを殺害しましたが、その後も世界ではテロが頻発しています。9.11以降、ヨーロッパやアメリカで強まった反イスラム感情は依然として高く、ノルウェーで7月に発生したテロ事件の犯人もイスラム教徒排斥を主張していました。
オバマ大統領は2009年にカイロで行った演説で、アメリカとイスラム世界の和解を訴え、世界平和に向けた新しい政策を明らかにしました。しかし、中東諸国では和平協議が行き詰まっており、演説に対する失望が広がっています。このように、アメリカの一極支配には限界が近づいており、近年は中国などのBRICS(Brazil, Russia, India and China)を中心とした新興国が存在感を示し始めています。今後はアメリカ一国に頼るのではなく、各国が知恵と力を結集してテロとの戦いに挑まなければなりません。もちろん、日本も国際社会での立場をアピールするため、協力を惜しまず積極的に関与していく必要があるでしょう。 |