契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回は6月20日から行われていた高速道路(expressway)の無料化がテーマです。
東日本大震災の避難者支援と復旧、復興支援の一環として、高速道路の料金無料化が行われていましたが、この制度を悪用し、被災地とは無関係のトラックが「ただ乗り(free ride)」するケースが問題となったため、トラックやバスについては8月末で打ち切る方向で調整が進められています。
これまで、トラックやバスは無料区間内で高速に入る、もしくは降りた場合には原則として料金がかからない仕組みでした。また、中型車以上は罹災・被災証明書(disaster victim certificate)が不要とされていたことが、今回発生した問題の大きな要因となっています。特に無料区間の対象路線で最も首都圏に近い常磐自動車道の水戸インターチェンジ(IC:interchange)では、一度水戸ICを降りてUターンし、再び同ICから乗るという悪質なドライバーが目立ち、周辺道路の渋滞や騒音など、地域住民の生活に支障が出始めていました。また、IC近くの市道は通学路にもなっており、子どもたちの安全も懸念されていました。
国土交通省(Ministry of Land, Infrastructure, Transport and Tourism)によると、9月1日以降はトラックやバスも乗用車と同様に、罹災・被災証明書を所有する被災者が同乗していることを条件にし、復興に関係するトラックやバスの支援は継続する方針を示しています。しかし、いつものように対応が後手に回ったという印象は否めません。
被災地の復興を支援するための政策は重要ですが、安易な無料化は今回のように制度の抜け道を利用する悪質なケースも生み出しかねません。また、何でも無料化すれば復興支援につながるという考え方も改めなければなりません。誰に対し、どのような目的でその支援策を行うのか、そして抜け道はないのか、実施前にあらゆる可能性を検討しなければ、今回のような問題は再び起こってしまうでしょう。 |