契約書翻訳、経済翻訳、政治翻訳、スポーツ翻訳担当の佐々木です。
今回は中国の美術市場( art market )についてです。
美術品競売大手のクリスティーズ社( Christie's )が発表した昨年 1 年間の営業実績によると、総売上高は約 3,050 億円で、部門別では「アジア美術( Asian art )」が 384 億円に達し、「印象派( Impressionism )・近代絵画( modern painting )」に次いで 2 位となりました。アジア美術の売上げが伸びた主な要因の 1 つに中国からのバイヤーが増加した点が挙げられ、昨年の秋に開催された香港アジア美術オークションでは、落札額の 42% を中国人バイヤーが占めました。
現在、中国国内には約 400 のオークション会社があり、昨年の取引総額は約 1,300 億円となっています。ジャンル別ではリーマンショックの影響で不振に陥った現代美術( contemporary art )に代わり、古書画の取引量が増えました。価値が安定していることが背景にあると考えられています。各社によると、落札者の 9 割近くが中国人で、残りは台湾、香港からの参加者が占めているとの統計も出ています。
中国の美術市場が盛況を迎えている最大の要因は、中国の経済発展( economic growth )にあります。昨年は明代の画家の作品が約 20 億円で落札されて話題となりました。落札者は上海の投資家で、このようなコレクターを始め、富裕層の数が年々増えています。また、リーマンショック以降、質の高い作品が海外から出品されていることも影響しているとの見方もあります。
日本国内には中国古書画が数多く存在するため、高値が期待できる中国市場への関心も高まっています。実際に日本人は落札者よりも出品者の方が多いというのが現状です。中国の美術市場は拡大を続けるとの予測が体勢を占めていますが、今後の動向に注目が集まります。 |